札幌市でAI導入を検討する中小企業には、2026年度、市独自の無料伴走支援と2つの補助金があります。国の補助金への上乗せ型と、賃上げを条件とする市単独型があり、企業の状況に応じて選べる点が特徴です。

ただし、どちらも札幌市内本社と、市の伴走支援によるDX推進計画が条件です。北海道庁、札幌市、札幌商工会議所、北海道よろず支援拠点は別々の支援主体です。

この記事では、2026年7月23日時点の公式情報をもとに、対象、補助額、経費、受付状況、AI業務代行への利用可能性を整理します。制度は予算上限で終了する場合があるため、申請時は公式要綱をご確認ください。

結論:札幌では補助金より先に無料伴走支援へ申し込む

2026年度制度は、次の順番で動きます。

  1. AI化したい業務と現在の工数を整理する
  2. 札幌市の「中小企業DX加速化・賃上げ促進支援」へ申し込む
  3. 専門家とDX推進計画を作成する
  4. 賃上げの可否や国制度の採択状況から、使う補助金を選ぶ
  5. 交付要綱に沿って契約・導入・申請する

補助金だけの単独申請はできません。専門家が最大8回無料で訪問し、計画作成と申請を支援します。

札幌市のAI・DX支援制度比較【2026年度】

制度・支援 主な対象 支援額・内容 条件・受付状況 AI業務代行への利用
DX加速化・賃上げ促進の伴走支援 札幌市内本社、事業実績1年以上の中小企業等 専門家が最大8回無料訪問 DX推進計画を作成。件数・期間限定、申込受付中 導入前の業務整理に活用可能
札幌市デジタル化・AI導入促進補助金 伴走支援を終えた市内中小企業等 自己負担額の1/2、上限225万円 国のデジタル化・AI導入補助金の交付決定が必要。要綱上は2027-01末まで 国制度で認められたITツール等が前提
札幌市DX・賃上げ加速化補助金 札幌市内本社・事業実績1年以上で、伴走支援を終えた中小企業等 上限500万円。市内IT企業との契約は2/3、その他1/2 平均賃金3.5%以上引上げを誓約。年度内の募集期間・予算上限あり 開発委託・ソフト利用料は可能性あり。運用代行費は要確認
札幌市先端設備等導入促進補助金 市内事業所を有し、先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業 補助率1/5、上限500万円 160万円以上の対象設備等。2026-11-30まで AI搭載設備等なら可能性あり。業務代行には不向き
DX・AI専門相談 札幌商工会議所 ITコーディネータによる約30分の相談 毎月第1・第3・第5木曜日。要予約 課題整理や制度選択に活用
無料経営・生産性向上支援 北海道よろず支援拠点 経営相談、オンライン相談、現場訪問型伴走 北海道内の中小企業等。随時相談 補助金に限らない改善相談に活用

札幌市以外の自治体制度や全国制度と比べる場合は、「全国自治体・中小企業向けAI・DX支援制度マップ2026」もご利用ください。

まず使う「札幌市中小企業DX加速化・賃上げ促進支援」

札幌市は、市内企業のDXを進めるため、伴走型相談、IT企業との協業機会、補助制度をまとめて案内しています。全体像は札幌市の「企業DX推進に向けた支援」で確認できます。

2026年度の専用支援サイトでは、専門家が最大8回無料で訪問し、業務の可視化、課題抽出、ツール選定、DX推進計画、補助金申請を支援すると案内しています。共通条件は、札幌市内に本社がある中小企業等、事業実績1年以上、伴走支援によるDX推進計画の完成です。補助金の採択は保証されず、予算上限・先着順です。

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札幌市デジタル化・AI導入促進補助金

国の「デジタル化・AI導入補助金」の採択案件に、市が追加補助する制度です。

交付要綱では、国補助金の通常枠、インボイス枠の指定類型で交付決定を受けた事業を対象としています。

補助額・対象・期限

  • 補助率:国補助金における自己負担額の2分の1
  • 補助限度額:225万円
  • 主な対象:札幌市内に本社を置く中小企業等
  • 共通条件:事業実績1年以上、DX推進計画の完成
  • 申請期限:2027-01末日まで
  • 他制度との併用:指定された国のデジタル化・AI導入補助金を除き、他の公的補助との併用不可

国制度の申請前にDX推進計画を完成させるため、市の伴走支援へ先に申し込みます。

AI業務代行に使えるか

市の対象経費は、国補助金で認められた補助対象経費から国の補助額を差し引いた自己負担分です。そのため、国制度に登録されたITツール、クラウドサービス、導入関連費等として認められることが前提です。

一般的な月額業務代行費を、そのまま上乗せ補助する制度ではありません。AIツール利用料、初期設定、導入支援、人的運用代行を見積書で分け、事務局へ確認しましょう。

札幌市DX・賃上げ加速化補助金

国制度を使わず、市単独でITツールを導入する選択肢です。交付要綱では、DX推進計画に基づく取組を対象としています。

補助額・対象経費

  • 補助限度額:500万円
  • 補助率:札幌市内の中小IT企業と契約する場合は3分の2、その他企業は2分の1
  • 設備備品費:ハードウェア、汎用ソフトウェアの購入費・使用料
  • 事業費:ソフトウェア開発委託費、ソフトウェア購入費・使用料
  • 人材育成関連費:導入システムを使うための研修受講料、講師報酬等

設備備品費と人材育成関連費の合計は事業総額の5割までで、「事業費」が含まれない事業は対象外です。

賃上げ要件と併用制限

申請企業は、従業員の平均賃金を2025-12時点と比較して、2027-03末までに3.5%以上引き上げることを誓約する必要があります。賃上げの原資と導入後の固定費を含めて資金計画を作ることが重要です。

国・地方自治体の他の補助制度とは併用できません。上乗せ型との違いを理解して選びます。

AI業務代行に使えるか

ソフトウェア開発委託費、購入費、使用料は対象になり得るため、AIチャットボット、需要予測、文書処理などの構築に使える可能性があります。一方、制度はITツール導入等を目的としており、成果物やシステムと切り分けられない一般的な人手による代行費は対象外となる可能性があります。

見積もりは、システム設計・開発、クラウド利用料、データ整備、研修、運用代行に分け、契約前に対象範囲を確認します。

札幌市先端設備等導入促進補助金

AIカメラ、検査装置、自動化設備など、設備投資を伴う場合は「札幌市先端設備等導入促進補助金」も候補です。

  • 対象:札幌市内に事業所等がある中小企業者
  • 前提:札幌市から先端設備等導入計画の認定を受ける
  • 対象:計画に記載された160万円以上の設備等本体
  • 補助率:5分の1
  • 補助限度額:500万円
  • 受付:2026-04-01〜2026-11-30

予算枠に達すると期限前でも終了します。設備本体向けのため、ソフトウェアと運用が中心なら市の2大DX補助金を先に検討します。

札幌市・北海道で使える無料相談窓口

札幌商工会議所のDX・AI相談

札幌商工会議所は、市内5か所で経営や補助金活用の相談に対応しています。本所の専門相談では、ITコーディネータによる「DX・AI相談」を毎月第1・第3・第5木曜日13:00〜16:00に実施しています。約30分でオンライン相談も可能ですが、最新日程を予約ページで確認してください。

北海道よろず支援拠点

北海道よろず支援拠点は、国の無料経営相談所です。IT活用、省力化、人手不足を原則回数制限なく相談でき、オンライン・電話にも対応します。2026-04-01開設の「生産性向上支援センター」では、現場訪問型の伴走支援も無料で提供しています。

札幌中小企業支援センター

札幌中小企業支援センターは、事業計画、資金調達、経営改善、専門家派遣を支援し、先端設備等導入計画の事前確認にも対応します。

北海道の制度と札幌市の制度は分けて考える

北海道の「地域課題対応ソリューション共創事業」は、自治体等と技術企業をつなぐ実証・実装事業です。一般企業の生成AI利用料を補助する制度ではありません。制度ごとに導入企業向け、開発企業向け、自治体向けを区別してください。

札幌の産業・業務に合わせたAI活用例

札幌市の第2次産業振興ビジョンでは、第三次産業の割合が高く、卸売・小売、医療・福祉、宿泊・飲食サービスの事業所・従業者が多いと整理されています。観光・宿泊、飲食・食品、建設、物流、医療・介護、バックオフィスなど、人手不足と季節変動の影響を受けやすい業務では、現場のボトルネックから導入対象を選びます。

業種・業務 AI活用例 最初に確認する指標
観光・宿泊 多言語問い合わせ、予約案内、口コミ分類、需要予測 問い合わせ件数、返信時間、繁忙期の残業
飲食・食品 発注予測、衛生記録、商品説明、販促原稿 廃棄率、欠品、記録時間
建設・設備保守 写真整理、日報、点検画像解析、見積作成 報告書作成時間、再入力、移動時間
物流・卸売 在庫予測、配車支援、伝票処理、問い合わせ分類 在庫回転、入力時間、誤出荷
医療・介護 記録下書き、文書検索、シフト調整 記録時間、残業、確認作業
管理部門 議事録、請求書読取、社内FAQ、提案書下書き 月間件数、1件当たり時間、手戻り

機密情報を扱う場合は、入力禁止情報、保存先、アクセス権、最終確認者を先に決めます。「中小企業のDXの始め方」も参考にしてください。

札幌のAI導入支援会社を選ぶ基準

  • 市の伴走支援、補助金申請、開発、運用の担当を明確にする
  • 市内IT企業との契約による補助率だけでなく、業種知識、実装力、セキュリティで比べる
  • AI導入費用と補助金の考え方を参考に、補助がなくても回収可能な規模から始める
  • 冬季や観光繁忙期の処理量、障害時の代替手順を計画へ入れる
  • ハードウェア、開発、クラウド、研修、運用代行を分けた見積もりを取る
  • クラウド上で完結する業務は全国対応会社も比較する

契約前の確認項目は「AI導入支援会社・AIコンサルの選び方」で整理しています。

PromotizeのAI業務代行は全国オンラインで対応しています。札幌市内に常設拠点があることを前提とするサービスではないため、市内企業との契約を補助率要件に使う場合や、現地設置が必要な場合は、制度要件と支援体制を優先して選んでください。

補助金申請前の確認事項

札幌市内本社、事業実績1年以上、伴走支援、賃上げ、他制度との併用制限を確認します。交付決定前の契約・発注を避け、補助対象外の運用費と導入効果を含む資金計画も用意してください。

よくある質問

北海道内の企業なら札幌市の2つのDX補助金を使えますか?

共通条件は、札幌市内に本社がある中小企業等であることです。北海道内でも札幌市外に本社がある企業は、対象にならない可能性があります。

2つの札幌市補助金を併用できますか?

DX・賃上げ加速化補助金は、国や自治体を含む他の補助制度と併用できません。デジタル化・AI導入促進補助金は、指定された国制度への上乗せですが、それ以外の補助との併用はできません。

AI業務代行の月額費用も対象ですか?

AIツールの開発、購入、使用料などは対象になり得ますが、人的な日常業務の代行費が対象になるとは限りません。導入費と運用代行費を分け、伴走支援者と事務局へ確認してください。

補助金を使わず相談だけ受けられますか?

札幌市の支援サイトは相談だけの利用も可能と案内しています。また、札幌商工会議所、北海道よろず支援拠点、札幌中小企業支援センターにも相談できます。

まとめ:札幌市の制度は手厚いが、申請順序が重要

2026年度の札幌市には、最大8回の無料伴走支援、国制度への上乗せで上限225万円の補助金、賃上げを条件に上限500万円を補助する制度があります。補助額だけを見ると魅力的ですが、札幌市内本社、事業実績、DX推進計画、賃上げ、併用制限などを満たす必要があります。

最初の行動は、製品購入や支援会社との契約ではなく、対象業務の工数を測って市の伴走支援へ申し込むことです。その後、賃上げの可否と国制度の利用状況から補助金を選びます。

補助金の対象外となる運用費も含め、導入後に継続できる計画を作ることが、札幌の中小企業がAI導入を成功させる近道です。